このタイトルは、「こばやかわ家の秋」と読んでしまいそうですが、正しくは「こはやがわ家の秋」と読むそうです。
監督のこだわりがきっとあるのでしょうね。
小津作品ではなくてはならない原節子さん、笠智衆さんも出演されていました。
老舗造り酒屋が舞台になって、それぞれの人間模様がユーモラスに描かれています。
原節子さん演じる秋子(長男のお嫁さん)が義理の妹に、結婚を考えるときの男性像について語る場面がありました。
秋子は
「品性が悪い人は駄目。品行が悪いのは直っても、品性だけは直らないもの」
と話しています。
新明解国語辞典によれば、
品行は、道徳的な面からみた行い。品性は道徳的な面からみたその人の性質、性格。
と書かれています。
この作品が撮られた1960年頃の日本は、品性というものに高い価値を見いだしていた時代だったのでしょう。
この秋子のセリフは、美しくて聡明な原節子さんにぴったりの言葉だと思いました。
小津作品の中の原節子さんを何本か観ましたが、どの作品の原さんも言葉が上品です。
「そうですの」「言いましたわよ」「なにを仰るのよ」「わたくし用事がございますの」なんて言い回しが頻繁に出てきます。
今の時代、こんな上品な言葉遣いが似合う女優さんは見あたらないような気がします。
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