私の実家では、本家のことを「母屋(おもや)」と言い、分家の事を「新宅(しんたく)」と言います。
わが家は新宅です。母屋と新宅の間には信頼関係はあるものの両者の間には微妙な上下関係があるように子どもの私には見受けられました。
母屋の伯母さんは、33才にして未亡人となり、女手ひとつで家を切り盛りし息子2人を育て上げました。
伯母さんは昔教鞭をとっていましたが、結婚と同時に慣れない農作業をやることになりました。
親戚一同や近所の人の間でも頭がいいと評判でした。
数年前までは心身ともに元気で、午後に母のところにやってきて、持参したCDの瀬戸内寂聴さんの説法を母とゴロリと横になりながら2人で聞いていました。
どちらからともなく寝入ってしまったりしたと母がよく話していました。(意外に不謹慎な2人です。)
その伯母さんが一昨年頃から体調を壊し、それと同時に物忘れがひどくなり、ついに昨年、老人の介護施設に入所してしまいました。
そんなわけで母は日常的に行き来できる友だちがいなくなったと嘆いています。
周囲の人から一目置かれ、事あるごとに伯母さんの良識ある意見を求められていたのに今の状態がとても信じられないと母の嘆きは続きます。
母の話をじっと聞きながら、母が心身ともに健康でいてくれることに感謝の気持ちでいっぱいになります。
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