2012年12月1日土曜日

【映画】小津安二郎監督 彼岸花


小津安二郎監督の「彼岸花」を観ました。

1958年の作品で、小津監督の初めてのカラー映画です。これまでいくつか彼の作品を視聴しましたが、白黒映画だったのでいかにも昭和初期の作品といった印象でした。

カラー映画になった「彼岸花」という作品は、これまでに比べて急に現代的になったかと言えばそういうわけではありません。

取り上げられているテーマも「娘の結婚」や「親子の関係」で以前視聴した「晩春」とよく似ています。俳優さんたちも小津監督のお気に入りの方々が多く出演されています。

「彼岸花」は、大会社の取締役の父親平山と結婚を決意した長女節子の心の葛藤が描かれています。


節子役には左側の有馬稲子さん、中央の山本富士子さんは知人の娘役、右側の久我美子さんは親友の娘役で出演されています。

三人とも本当に美人です。三人はそれぞれ結婚問題で親との確執があります。

この時代の親たちは、娘の幸せを願うあまりどこか押しつけがましく、自分の価値観で物事を決めてかかっています。

娘サイドに立って平山に悪態をつきながら映画を視聴しました。

実家の母は、この作品が公開された頃は、20代後半ですから、この映画のような親子関係だったと想像されます。

母の独身時代は、戦後まもなくで食糧事情も悪かったらしく、お米を作っている農家だと食べることには困らないという判断で親たちから父との結婚を勧められたのだと聞いたことがあります。

そんな時代でありながら、節子が「自分の幸せは自分で掴む」と宣言したのは、親にとっては生意気にうつるかもしれませんが、強い女性の出現で当時の女性からは強い支持を受けたことと思われます。

作品のテンポはとてもゆっくりしているのですが、現代の映画やドラマを見慣れた者には新鮮に感じられます。



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