2010年12月8日水曜日

無花果の森 319話

今日の日経新聞夕刊の小説「無花果の森」は衝撃的でした。

主人公泉が隠れて暮らしていた大崖のあの画家八重子が亡くなりました。

八重子の高齢化がすすみ、大崖での暮らしが困難になり、八重子の計らいで川崎で仕事と住まいを与えてもらった泉でした。

数日前の話で誰かの葬儀の場面が描かれていましたが、まさか八重子の葬儀だとは思いませんでした。

泉に出ていかれた映画監督の葬儀か記者の鉄治のそれなのかと想像していました。

窮地の泉を深く詮索することなく家政婦として雇ってくれた八重子は、泉にとっては恩人そのものでした。

別れる時、八重子は東京の知り合いの所に世話になると言っていましたが、泉に転居先を教えることもなく再会の約束もなく別れたことから推察すると、八重子の転居の話はもしかすると嘘だったのかもしれません。

大崖でいつまでも隠れて暮らすのではなく、きっちり身辺の整理をして鉄治と新しくやり直すようにと背中を押してくれたのかもしれません。

憎まれ口を叩きながらもどこか人の良さを感じさせる八重子がいなくなったと思うと寂しいです。

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