私が子どもだった頃、秋祭りには親戚を招いてみんなで収穫を祝いご馳走を食べました。
そんな時には、大切にしまってあった黒塗りの輪島塗の御膳やお椀が登場しました。
お祭りだけではなく結婚式なども家々で執り行なった時代ですから、それらのお道具は晴れの日には欠かせないものでした。
行事が終わると、母と祖母が丁寧に洗い、子どもたちはから拭きを命じられらたものです。
そんなお宝のような家財道具も時代にそぐわなくなり、今では家の奥にしまわれて日の目をみることはありません。
母の話ではそれらのお道具も始末する方向だそうです。
実家の方の集落では、お蔵のある家も多くあります。お蔵の中にはそういったおもてなしの家財道具がたくさん仕舞われていることと思われます。
私の妹の嫁ぎ先でも似たような事情を抱えています。
お姑さんがお嫁入りに持参した座布団が新品同様で仕舞われており、妹が持っていった座布団もまた使われていないようです。
昔は親戚一同が集まる機会が多かったので、それなりに体裁が整った座布団や調度品が必要だったのでしょう。
現在は、簡略化されてきて、もはやそれらは収納場所をとる無用な物になりつつあります。
大切に扱っていた物を捨てるのは勇気がいりますが、今の暮らしを優先するなら物に執着せず処分する決心も必要なのだと母の話からそう思いました。
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